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アメリカのMBAで学ぶマーケティングの定義

きたたく

あなたは「マーケティング」と聞かれて、すぐにその定義を明確に答えられるでしょうか?


「広告や宣伝のことじゃないの?」と考える方は少なくありません。

実のところ、私自身もゲーム業界でマーケティング責任者を務める経験や、アメリカのMBAで本格的に学ぶまでは、そう誤解していました。


しかし、広告やプロモーションはマーケティング活動の一側面にすぎず、マーケティングは顧客や社会との緊密な関わりを通じて価値を創出・伝達・提供・交換する、より包括的な概念です。


本記事では、アメリカのMBAプログラムで標準的に扱われるマーケティングの定義を出発点に、マーケティングという概念の本質を改めて捉え直していきます。

最も一般的な定義:アメリカ・マーケティング協会(AMA)の定義

アメリカのMBAでは、まずアメリカ・マーケティング協会(American Marketing Association: AMA)が提示する定義が紹介されることが多く、これはマーケティングを論じる際のスタンダードとなっています。

マーケティングとは、顧客、クライアント、パートナー、そして社会全体にとって価値のある提供物を創造し、伝達し、提供し、交換(Exchanging)するための活動、機関の集合、およびプロセスを指す。

Definition of Marketing(2017)

ここで重要なのは、マーケティングが「価値の創造」を軸にしたプロセスであり、単なる販売促進(プロモーション)の手段ではないという点です。「価値」というキーワードがあるからこそ、マーケティングには商品開発、価格戦略、流通、コミュニケーション、顧客関係の構築といった幅広い領域が含まれます。

個人的に興味が惹かれたのは、「交換(Exchanging)」という単語を使っていることです。
感覚としては取引(Transaction)の方が実態に近い感じがしました。
MBAの講義では、交換と使っているのは政府の活動といったビジネスだけではない幅広い意味を含むためと解説がありました。

日本の定義:日本マーケティング協会の2024年定義

アメリカの定義だけでなく、日本にも有力な定義があります。日本マーケティング協会は2024年に新たな定義を示しました。

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである

日本マーケティング協会 2024年

注1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注3)構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。

この定義では「顧客や社会と共に価値を創造」する点に強調が置かれ、マーケティングは社会的な文脈の中で共創と関係構築を通じて持続可能性を追求する活動として理解されています。

巨匠たちのマーケティング観

フィリップ・コトラーによる定義

近代マーケティング理論の父とも呼ばれるフィリップ・コトラーは、マーケティングを社会的定義と経営的定義に分けて説明しています*1。

社会的定義
「マーケティングとは社会活動のプロセスである。その中で個人やグループが価値ある製品・サービスを創り出し,提供し,他者と自由に交換することによって必要なものや欲するものを手に入れる。」

経営的定義
「マーケティング・マネジメントは,少なくとも1つの潜在的交換を望むグループが他方のグループから望ましい反応を得る方法について考えるときに生じる。マーケティング・マネジメントとは,標的市場を選び出し,優れた顧客価値を作り出し,分配し,コミュニケーションをすることによって,顧客を獲得し,維持し,増やすための技術と知識である。」

コトラーはマーケティングを「価値交換のプロセス」としてとらえ、社会的な視点と企業経営の視点の両面からマーケティングが何を成し遂げるべきかを示しています。

ピーター・ドラッカーによる定義

ピーター・ドラッカーは、マーケティングの目的を以下のように表現しています。

マーケティングの目的は、顧客を徹底的に理解し、その顧客にぴったり合った製品やサービスを提供できるようにすることで、それ自体が自然に売れていく状況を作り出すことにある。

この定義はマーケティングの本質をシンプルに示します。顧客理解を出発点とし、製品やサービスが顧客に「フィット」すれば、自然に市場から求められるようになる、という考えです。ここには「売ろうとしなくても売れる状態をつくる」のがマーケティングだという理念が反映されています。

まとめ

こうした定義を理解することで、マーケティングが単なる広告・宣伝ではなく、顧客・社会のニーズを深く理解し、新たな価値を創造するための包括的な戦略とプロセスであることが明確になります。特にアメリカのMBAでは、ケーススタディや実務的なアプローチを通じ、この定義に基づいた実践的スキルや戦略思考を身につけていくことが重視されています。

*1:P. Kotler, Marketing Management : Millennium Edition, Tenth Edition, PrenticeHall, 2000. (恩蔵直人監修・月谷真紀訳『コトラーのマーケティング・マネジメント ミ
レニアム版』ピアソン・エデュケーション, 2001年)

ABOUT ME
きたたく
きたたく
学習工学博士
自由に生きる人を増やしたい大学教員・経営者。
生成AIで経済的自由を達成するための知識を発信中。
元不登校から飛び級で博士号(工学)を取得した連続起業家。
プログラミングを通じて「U-22 プログラミングコンテスト CSAJ 会長賞」「IoT Challenge Award 総務大臣賞」「人工知能学会研究会 優秀賞」など40件を超える賞を受賞。
スマホアプリ会社を創業(売却)し、プログラミングスクールの会社を創業(20店舗経営)

著書:知識ゼロからのプログラミング学習術(秀和システム) 他多数
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