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生成AI時代のエンジニアに必要な汎用知識

きたたく

近年、生成AI(例えばChatGPTやGitHub Copilotなど)を活用する場面が増え、ソフトウェア開発の手法や業務効率は大きく変化しつつあります。しかしどのようにAIが進化しようと、ソフトウェア開発の本質となる基礎知識や応用力は変わりません。本記事では、これからの時代を生き抜くエンジニアにとって不可欠な汎用知識を整理してご紹介します。

1. プログラミング基礎

1.1 プログラミング言語の習得

まずは、一つでかまいませんので、得意なプログラミング言語を身につけることが大切です。
たとえば、Python(パイソン)は初心者でも学びやすく、AI(人工知能)やデータ分析、Webサイトづくりなど、いろいろな分野で活躍しています。ほかにも、Java(ジャバ)JavaScript(ジャバスクリプト)、C++(シー プラス プラス)など、たくさんのプログラミング言語が存在します。それぞれ得意な分野がありますので、自分が作ってみたいものに合わせて選んでみるとよいでしょう。

1.2 アルゴリズムとデータ構造

  • アルゴリズム: 問題を解決するための手順(たとえば、並び替えや検索のしかた)
  • データ構造: データをどのように整理して保存するか(たとえば、配列やリスト、木構造など)

これらは、プログラムを効率よく動かすために欠かせない基礎知識です。大量のデータをすばやく処理したり、複雑な問題を解きたいときに、とても役立ちます。

1.3 デザインパターン

プログラムの設計には、同じような問題が何度も出てきます。そのときに役立つのが「デザインパターン」です。これは、よくある問題に対して「こうすれば上手に解決できる」とまとまったアイデア集のようなものです。これらを知っておくことで、より分かりやすく、保守(修正や管理)がしやすいプログラムを書けるようになります。

1.4 オブジェクト指向プログラミング (OOP)

OOPとは、プログラムを「カプセル化」「継承」「ポリモーフィズム」といった考え方でまとめる方法です。一つひとつを部品にしておくことで、後から変更したり新しい機能を付け足したりするのが楽になります。大きなシステムを作るときほど、このOOPの考え方がとても重要です。

2. 開発プロセスと手法

2.1 アジャイル開発とウォーターフォール開発

  • ウォーターフォール開発: まず最初にしっかり計画を立てて、その計画どおりに順番に作業を進める方法です。
  • アジャイル開発: 小さな単位で作業をくり返しながら、必要に応じて計画を変えていく方法です。

最近は、要望の変化にすばやく対応できるアジャイル開発が注目されています。特に、AI技術を使った新しいシステムを作るときなど、早めに試作品を作ってチェックするのに向いています。

2.2 CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)

開発者がコプログラムが変更されるたびに、自動でビルド(プログラムをまとめる作業)やテスト、そして本番へのリリース(公開)まで行うしくみを指します。

  • メリット: 不具合をすぐに見つけられたり、リリースが早くなる
  • ツール例: GitHub Actions、Jenkins、CircleCI など

自動化が進むほど、テストをたくさん行えるので、プログラムの品質が安定します。

2.3 テスト駆動開発(TDD)

TDDは、テストを書いてからプログラムを作るという手順を徹底する開発方法です。やり方は「テストを書く → テストを実行すると失敗する → コードを書いてテストを合格させる → コードをきれいに直す」のサイクルを回すだけです。こうすることで「このプログラムは何をするのか」がはっきりし、バグが発生しにくい設計を築けます。

3. 開発プラットフォーム

4.1 フレームワークまたはスタック

使う言語によって、人気のあるフレームワーク(便利機能をまとめた土台)やツールセットがさまざまに存在します。

  • Python: Django、Flask
  • JavaScript/TypeScript: Node.js + Express、React、Vue、Angular
  • Java: Spring Boot
  • PHP: Laravel

Webアプリを作るときはフロントエンド(見た目)やバックエンド(中身)、さらにサーバーやネットワークなど、幅広い知識が必要になることも多いです。

4.2 データベース

  • RDBMS(リレーショナルデータベース): MySQL、PostgreSQL、Oracle など
  • NoSQL: MongoDB、Redis、Cassandra など

たとえば、たくさんの文章を保存したいのか、リアルタイムで高速な処理をしたいのか、といった目的によって使うデータベースを選びます。

4.3 ビルドとデプロイ

  • ビルドツール: Maven、Gradle、npm、Webpack など
  • コンテナ化とオーケストレーション: Docker、Kubernetes

こうしたツールを使って、自動的にプログラムをまとめたり、本番サーバーにアップしたりする仕組みを作れます。

4.4 デバッグ

プログラムに不具合(バグ)があるとき、それを見つけて直すために使う方法やツールです。

  • ログ出力: どこでエラーが起こったのかを調べるための記録
  • ブレークポイントデバッグ: プログラムを途中で止めて、変数の中身を確認する機能
  • 監視ツール: New Relic、Datadog、Grafanaなど

バグを早く見つけ、すぐに直すためには、とても重要な作業です。

5. バージョン管理とコラボレーション

5.1 Gitとリポジトリ管理

Gitは、プログラムの変更履歴をまとめて管理するためのシステムで、多くのプロジェクトで使われています。GitHubやGitLabなどを使えば、インターネット上でファイルを共有しながら、複数人で同時に開発できます。いつどこを変えたかが記録されるので、安心して作業できます。

5.2 コードレビュー

チームメンバー同士でお互いのコードをチェックして、ミスを見つけたり、よりよい書き方を学んだりすることをコードレビューと呼びます。レビューを取り入れることで、バグが減り、開発者同士のスキルアップにもつながります。

6. セキュリティ

6.1 セキュアコーディングの原則

  • 入力バリデーションとサニタイジング: ユーザーが入力したデータをきちんとチェックしてから使う
  • 最小特権の原則: 必要以上に大きな権限(パワー)を与えない
  • 安全なセッション管理や情報の暗号化

こうしたポイントを守ると、悪意のある攻撃からシステムを守りやすくなります。

6.2 OWASP Top 10

Webアプリがよく狙われる脆弱性のリストです。たとえば、SQLインジェクションやXSS(クロスサイト・スクリプティング)などがあります。あらかじめ対策を理解しておくことで、セキュリティ事故を防ぐことができます。

6.3 認証と認可の基本

  • 認証(Authentication): 「この人は誰なのか」を確認すること(ログインなど)
  • 認可(Authorization): 認証済みの人が、どこまでの機能やデータを使ってよいかを決めること

適切な仕組みを作れば、悪い人が勝手にデータを見たり操作したりできないように守れます。

7. パフォーマンス最適化

7.1 コードの最適化

プログラムを早く動かすために、アルゴリズムを工夫したり、むだな処理を減らしたりします。どこに時間がかかっているのかを調べる道具(プロファイラなど)を使いながら、効率よく修正していきます。

7.2 データベースチューニング

データベースの動きを早くするためには、インデックスを使って検索をスピードアップさせたり、SQL文を見直したりします。データの持ち方を整理することで、大量のデータでも素早く扱えるようになります。

7.3 キャッシュ戦略

よく使うデータを事前に保存(キャッシュ)しておいて、何度も同じ処理をしなくていいようにする方法です。たとえば、RedisMemcachedといったキャッシュ用の仕組みを使うと、システム全体が高速になることがあります。

8. ソフトスキル

8.1 プロジェクト管理とタイムマネジメント

開発タスクを正しく見積もり、期限内に成果物をリリースする能力は、エンジニアとしての評価を大きく左右します。タスクの優先順位付けや進捗管理、コミュニケーションを通じてプロジェクトを円滑に進めましょう。

8.2 チームワーク

大規模プロジェクトほど、多様な専門性を持つメンバーが集まります。互いを尊重し、知識や情報を共有し合う文化を作ることで、生産性と品質が高まります。

8.3 問題解決能力

論理的思考と創造力を兼ね備えた問題解決能力は、バグ対応から仕様変更まで、あらゆる場面で必要とされます。原因を分析し、複数の選択肢を検討し、最適な解決策を迅速に実行できるエンジニアはチームの貴重な存在となります。

8.4 コミュニケーションスキル

専門外のステークホルダーへの説明や要件ヒアリング、チーム内での情報共有など、明瞭なコミュニケーションはプロジェクト成功の鍵です。「技術をわかりやすく伝える力」も同時に磨きたいスキルです。

9. 生成AIを使ったコーディング

生成AIの登場により、コードの自動生成や補完ツールが飛躍的に進歩しています。たとえばChatGPTやGitHub Copilotのようなツールを利用すると、以下のようなメリットが得られます。

  1. コードの下書き作成: 短時間でサンプル実装を得られるため、プロトタイピングが加速
  2. 学習効率の向上: 使用例やサンプルコードを瞬時に生成し、初心者でもトライ&エラーしやすい
  3. ドキュメンテーション補助: 設計意図やアルゴリズムの説明文を自動生成

ただし、AIが生成したコードの品質・セキュリティを担保するためにも、コードレビューやテスト駆動開発(TDD)のプロセスは従来以上に大切です。生成AIを盲信せず、自分自身の知識や経験を持って最終的な判断を下す姿勢が求められます。

まとめ

生成AI時代においても、ソフトウェア開発の土台となるプログラミングの基礎知識設計・アーキテクチャセキュリティパフォーマンス最適化、そしてソフトスキルは変わらず重要です。むしろ、AIを活用することにより、こうした基礎がしっかりしているエンジニアほど生産性が上がりやすく、チームやプロジェクト全体をリードできる存在となります。

これからの開発者は、AIツールを取り込みつつ、基礎から応用まで幅広いスキルセットを身につけ、常に学び続ける姿勢を持つことが求められます。次世代のイノベーションを生み出す原動力となるのは、知識と経験を掛け合わせて価値ある成果を生み出せるエンジニアなのです。

ABOUT ME
きたたく
きたたく
学習工学博士
自由に生きる人を増やしたい大学教員・経営者。
生成AIで経済的自由を達成するための知識を発信中。
元不登校から飛び級で博士号(工学)を取得した連続起業家。
プログラミングを通じて「U-22 プログラミングコンテスト CSAJ 会長賞」「IoT Challenge Award 総務大臣賞」「人工知能学会研究会 優秀賞」など40件を超える賞を受賞。
スマホアプリ会社を創業(売却)し、プログラミングスクールの会社を創業(20店舗経営)

著書:知識ゼロからのプログラミング学習術(秀和システム) 他多数
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