起業家志望のための「市場調査」完全ガイド— TAM/SAM/SOMからMVPまで、ゼロからわかる実践ロードマップ —
起業アイデアを思いついたとき、多くの人が最初にぶつかる壁があります。
「これって本当に売れるの?」
「市場ってどれくらい大きいの?」
「競合が多すぎない?」
この疑問に答えるのが市場調査です。
1. 市場規模を考える:TAM / SAM / SOM とは?
まずは「市場の大きさ」を整理します。
- TAM(Total Addressable Market)
理論上、取り得る最大市場規模 - SAM(Serviceable Available Market)
自社のビジネスモデルで狙える市場 - SOM(Serviceable Obtainable Market)
実際に獲得可能な市場規模
シンプルな計算式
市場規模 = 顧客数 × 顧客あたり売上
例えば:
- 大学生 100万人
- 月額1,000円のサービス
TAM = 100万人 × 12,000円 = 120億円
でも、実際に取れるのは?
そこがSOMです。
「大きなTAM」よりも「勝てる小さな市場から始めること」が大事です。
2. 競合リサーチ:勝ち筋を探す
競合リサーチは「敵を調べること」ではありません。どこなら勝てるかを探す作業です。
フレームワーク:5 Forces
Michael E. Porter の「5 Forces」は定番です。
- 既存競合
- 新規参入
- 代替品
- 顧客の交渉力
- 仕入先の交渉力
ポイントは、
直接競合だけでなく「代替手段」も見ること
たとえば:
語学アプリの競合は?
- 他アプリ
- YouTube
- 留学
ポジショニングマップ
- 横軸:価格
- 縦軸:利便性
最初は、この2軸で配置すると、空白が見えてきます。
軸は顧客が実際にサービスを選ぶ価値にすることが大事です。
3. ユーザーインタビュー:本当の課題を知る
市場調査で最も重要なのはユーザー理解です。
インタビューの目的はユーザーの「行動」と「背景」を理解すること
ダメな質問
「このサービス使いたいですか?」
→ ほぼ全員「はい」と言う
良い質問
- 最近どうやって◯◯しましたか?
- 何が一番面倒でしたか?
- それをどう解決しましたか?
重要なのは「未来の意見」ではなく「過去の行動」を聞くこと
ペルソナとカスタマージャーニー
ペルソナ
実在しそうな理想顧客を具体化します。
- 21歳
- 地方大学生
- 就活に不安
- 月収5万円のバイト
ジャーニーマップ
「その人がどう行動するか」を時系列で整理します。
- 不安を感じる
- Google検索
- SNSで情報収集
- 無料体験登録
- 有料化
ここまでやると、
広告・機能・価格のヒントが見えてきます。
4. アンケートとA/Bテスト
アンケート
仮説を「数」で検証します。
基本原則 は
- 1問1テーマ
- 誘導しない
- 簡潔に
目的は「それって本当に多数派?」を確かめること
A/Bテスト
Ron Kohavi が広めた実験手法です。
- A:今のページ
- B:価格を下げたページ
- 比較:どちらが登録率高い?
ポイントは:意見ではなく「行動」で判断する
ただし注意として、A/Bテストは「なぜ」を教えてくれません。
5. MVPとリーン調査
Eric Ries のMVPの定義:最小の努力で最大の学びを得る方法
例:Zappos
Zappos の創業者
Nick Swinmurn は、
在庫を持たずに
- 靴の写真を掲載
- 注文が入ったら店舗で購入
- 発送
→ 需要があるかを確認。これがリーン調査です。
6. リーンキャンバスで整理する
Ash Maurya のリーンキャンバスは、
ビジネスモデルを1枚に整理するツール。
主な項目
- 課題
- 解決策
- 顧客セグメント
- 価値提案
- 収益モデル
- コスト構造
ここで重要なのはすべて「仮説」として書くことです。
7. 収益モデルと損益分岐点
収益モデル例:
- サブスク
- 広告
- 成果報酬
- ライセンス
損益分岐点(BEP)は:固定費 ÷ (価格 – 変動費)
これを超えないと黒字になりません。
まとめ:市場調査は「未来を当てる作業」ではない
最後に完璧なリサーチをしてから動くのではなく動きながら学ぶこと。これが起業家の市場調査です。
