初心者向け生成AI(Generative AI)の基本的な仕組み
はじめに
みなさんは「ChatGPT」や「Stable Diffusion」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか? これらは「生成AI(せいせいエーアイ、Generative AI)」という技術を利用して、言葉を返したり、画像を作ったりすることができるAIの一種です。
最近では、「文章を作るAI」や「絵を描くAI」、「音楽を作るAI」などが注目を集めています。それらはすべて「生成(ジェネレーティブ)」という仕組みを使っているため、「生成AI」と呼ばれています。
しかし、「どうやってAIが文字や絵を作っているの?」「ただのプログラムなのに不思議」と感じる人も多いでしょう。そこで本記事では、「生成AIが動くしくみ」について、なるべくやさしく、そして実装面でのポイントを押さえながら紹介していきたいと思います。中学生の方でも、プログラミングの基本やパソコンの操作がわかっていれば、「ああ、こうやってAIって動いてるんだな」とイメージできるように書きました。
最初はAIの基礎的な話から始め、そこから生成AIに特化したメカニズムへと進みます。また、実際に「どうやってコンピュータやプログラムの中で実装しているのか」についても少し踏み込んで解説します。長めの記事ですが、興味があるところだけ飛ばし読みしても大丈夫です。じっくり読めば「生成AIってこんな感じで作られているんだ」という全体像がつかめるはずです。ぜひ最後までお楽しみください。
第1章:AIの基本とは?
1-1. AIってなに?
AI(人工知能)は、人間がコンピューターに「人間のような判断や学習」をさせるための技術や仕組みの総称です。テレビやニュースでよく見かける「AI」という言葉は、実はいろいろな意味で使われることがあります。たとえば、
- ルールベースのAI
これは、将棋やチェスのコンピュータープログラムなどが典型例です。「相手がこう動いたら、こう返す」というように、人間が決めたたくさんのルールや条件をコンピューターに覚えさせて、その通りに動かします。プログラムが指示通りに動いているだけとも言えますが、昔はこれも「AI」と呼ばれていました。 - 機械学習(きかいがくしゅう)
これは、データからパターンを読み取って、それをもとに予測や判断を行うAIの手法です。「猫の画像」を大量に見せるとコンピューターが「これは猫だ」と認識できるようになる、というように、ルールを人間が細かく書くのではなく、データから学習してもらうのです。 - 深層学習(ディープラーニング)
機械学習の一種ですが、より複雑な多層構造の「ニューラルネットワーク」というモデルを使って、より高度なパターン認識を可能にした方法です。画像認識や音声認識など、近年のAIブームの大きな原動力になっています。
生成AIは主に「深層学習」のテクニックを活用して実現されています。大量のデータを学習し、その学習結果をもとに新しいコンテンツを生み出しているのです。つまり、ほとんどの場合「ニューラルネットワーク」というしくみが生成AIの土台になっています。
1-2. ニューラルネットワークってなに?
「ニューラルネットワーク」とは、人間の脳の神経回路(ニューロン)をまねして作られた数学モデルです。ただし、本物の脳の動きに比べると、まだまだシンプルなものです。脳の神経細胞は電気信号などでやり取りをしていますが、それを数学的な式に置きかえてコンピューターで実現したのがニューラルネットワークです。
ニューラルネットワークの基本構造
一般的なニューラルネットワークは、次の3つの層(レイヤー)を持ちます。
- 入力層(Input Layer)
入力の値を受け取る部分。たとえば、画像認識なら画像のピクセルデータを数値として入力します。 - 中間層(Hidden Layer)
入力をもとに、複雑な計算を行う部分。何層にも重なっていることが多く、深い層を多く持つほど「ディープ(深い)ラーニング」と呼ばれます。 - 出力層(Output Layer)
計算結果を出力する部分。画像認識なら「これは猫」「これは犬」というように分類結果を出力します。
生成AIでは、このネットワーク構造をさらに工夫して、入力から出力を求めるだけでなく、「何か新しいデータを生み出す」ことを可能にしています。
